弁護士も呆れる「横領」の刑事事件実例集

弁護士も呆れる「横領」の刑事事件実例集

  • HOME
  • 不動産の二重売買と横領罪

不動産の二重売買と横領罪

【福岡高裁昭和47年11月22日】

事案の概要

被告人は、既に当該不動産が他人に売却されていることを知りながら、登記がされてないことを奇貨として、所有名義人に働きかけ、買い受けた。かかる行為について横領罪の成否が問われた事件。


判旨

「…単に二重譲渡になることの認識を有していたのに止まらず、二重譲渡になることを知りつつ敢て…執拗且つ積極的に働きかけ、…売買契約を締結するに至らしめたものであるから、Xの本件所為は、もはや経済取引上許容されうる範囲、手段を逸脱した刑法上違法な所為というべく…横領罪の共同正犯として刑責を免れえないというべきである。」

コメント

本件は、民法177条の「第三者」の解釈問題と絡んで、二重譲渡事例において、買受人に横領罪の共同正犯が成立するかが問題となりました。本件は、民法判例上、「第三者」に含まれない背信的悪意者に当たる場合には、買受人に共同正犯が成立すると判断したものといえます。民法と刑法双方における整合的な解釈がなされたといえるでしょう。

このページのTOPへ